「ああ、ただいま。邪魔したかあ?」
「と、とんでもない。私も気を失っていただくのが、一番平和かな…と思ってました…。」
「…こっちはこっちで逆大奥にしやがって。」
「はい?」
逆大奥とは???
「…とりあえず。」
「えっ!?」
ふわりと私を抱き上げて。
そのまま移動を始めたアキトさん。
「ど、どこ行くの!?」
「この城は俺が取締役なんでなあ。」
と、取締役?
何を言っているんだと考えている間に再び広間に帰って来た。
そこではやけ酒に溺れる隊士たちが、帰ってきたアキトを見て目を丸くしている。
「随分楽しそうなことしてたらしいなあ?」
なんか色々…なんで筒抜けなの。
この場にいなかったはずのアキトが、どうして隠れんぼ事情を知っているんだと。
私も含めた全員が思っている。
「…トキ?」
「俺は楽しい方の味方だから何にも話してないよ。」
確かに、トキは広間にいた。
「…珍しくシオンが俺に頼むんで何事かと思えば。」
「し、シオンが…アキトに?」
「自分で斬り伏せてお前一人助けられるくせに、それはしねえって言うし。アイツ変なもん食ったのかあ?」
みんなも分かってくれるといいな。
私がシオンが優しいのをみんなに知ってほしいって言ったから、わざわざアキトにお願いしてくれる人だよ。
みんなと仲良くしてほしいって言ったから、自分の剣から手を離した人だよ。
「し、シオンさん…。」
「あの人以外と冷たくねえのか?」
分かってくれる人は、きっといる。
その偉大な力で、そんな人たちをこれからも守っていってほしいと思う。
私にしか向かない優しさも、いつかは色んな人に向けてほしいと思う。
「シオンはやっぱりお兄ちゃんだから。」
「あ?」
「不器用でも、お兄ちゃんって立場の人はやっぱり優しいよね。」

