私が退室した後、隊士達は内なる欲に従うかのように沸々と五分経過を待つ。
その中でシオンはもう茫然と呆れている。
「うわ、何この意味不明な空気。あれ?リンは?」
遅い遅いトキの帰りに、不本意にも再び怒り若干殺気を漏らすシオン。
「は?え?どういう状況?」
「あ、トキさん…それが…。」
隊士の一人がトキに事情を説明。
トキも流石に呆れる気持ちもあるが、次の瞬間には楽しそうに笑う。
「…もう五分経ったんじゃない?」
「「「っしゃ行くぞー!!!」」」
大歓声を上げながら隊士たちが次々と隠れた私を探すために広間から走り去っていく。
「…俺に怒るのはお門違いだよ。」
「……。」
「リンもしかしたら嫌だったのかもよ。自分には優しいシオンが他の人間に冷たくするの。」
「…俺は寝る。」
「シオンも参加するように言われたんでしょ?」
「くだらない。寝る。」
シオンは部屋へ戻ろうと広間を出る。
城内では血眼で私を探そうと駆け回る隊士たち。
「あ、シオンさん!そっちには居ませんでしたよ!」
「…別に聞いてない。」
「すんません!リンちゃん絶対見つけましょうね!」
「…何で俺が。」
「え、だってシオンさんもリンちゃんに惚れてるんすよね?」
「……。」
くだらないと。
また吐き捨ててシオンはその場を離れる。
自分が寝泊まりしている城の空き部屋へ入り、ごろんと寝台に横になる。
「……。」
くだらないと言いつつも。
シオンもちゃんと自分の気持ちを理解している。
出会いこそ、歪で幼くはあるものの。
長年忘れられずに過ごした少女を想っていた。
戦場で再会した時、とてつもない安堵と喜びを感じたのを今でも覚えている。
「…はぁ。」
そして、今。
ここで数日過ごした日々も。
シオンにとっては夢の延長線のような出来事で。信じ難くて夢見心地な時間。
「…どうしてくれる。」
もう否定することさえ難しい気持ちが憤る。
雨の音に掻き消されるシオンの声は、誰にも届くことはない。
「欲しくて仕方ない…。」

