「あの医術師もリンの友か?」
「…元夫だ。」
「セザールの王子か。特異だと噂で聞いたが、確かに特異だな。王子にして医術師とは…。」
マサはレンを見て思ったことがある。
それは私とレンを良く知るアキトも既に知っていて、感じていること。
「…良く似た二人だ。」
「だよなあ。本人達は気付かねえんだろうが、本当に良く似てる。だから俺はリンの考えが何となく読めちまうんだろうし。」
…私とレン。
互いに過ごす国は違えども、国に対する想いも違えども。最終的に行き着く願いは良く似ている。
誰も傷付かなくて済むように。
大切な人と平和に過ごせるように。
誰もが平等に健やかに暮らせるように。
幸せに前を向いて歩けるように。
「…お前、二度とリンに求婚すんなよ?」
「貴殿の女でもあるまい。」
「忍者ってだけでリンの好奇心が揺さぶられてる!そんなアドバンテージある奴は入ってくんな!ただでさえ敵は厄介な奴ばっかなんだよ!」
「良いことを聞いた。次会う時は忍術を大いに利用して近付こう。」
「ふざけんな!二度と会わせるか!!!」
ギャーギャーとアキトが騒ぐもので、薬を持ってきたレンがアキトを睨む。
「アキトうるさい。」
「…だってコイツがリンにまた言い寄ろうとするから。」
「だから恋愛は自由だって。リンの心だって自由だよ。」
「だからお前は余裕かよ!?」
レンは呆れつつ、マサに持ち帰る薬を手渡して用法用量を伝える。
マサはそんなレンを見て思わず笑みが溢れる。
「え、何?俺変なこと言った?」
「すまない。あまりにもリンと同じような目をするもんで、つい。」
「目?俺とリンは寧ろ真逆の色だけど?」
「瞳の色ではなく心配の色だ。リンと別れた時も同じように心配された。」
天然炸裂しているレンにマサがそう教えると、レンもどこか嬉しそうに笑う。
「リンは度を超えて優しいからね。」
いつかの私も、レンのことをそんな風に言ったことがある。
私とレンが似ているというのは本当かもしれない。

