「…お前の惚れた女に、わざわざハマるんじゃなかった。」
「相手がリンだから仕方ないよ。王宮にいた頃からバレバレだったし。それに恋愛は自由だよ。アキトは俺に気使いすぎ。」
「バレバレ!?」
「バレてないと思ってたの?」
分かりやすいアキトさんでした。
けど、気を使いすぎだとレン本人に指摘されてしまったので。もう包み隠さず話すことにしたアキト。
「…気持ち伝えてもう断られた。」
「リンだもんね。」
「ああ。けど諦めるにはデカすぎる想いだったんで、悪いが将印渡した。」
「…うん。」
レンは相槌を打つだけ。
今となっては結婚した事実は消し去られてしまった。そもそも私が手に入ったと思ったことがないレンに、アキトを責めることなど出来ない。
「…あと、ルイは降りたらしい。」
「え?」
「あんだけ大事にしてたから、どうせ吹っ切れてはいねえんだろうけど。」
「…ルイ。」
どこまでも優しいレンは、失恋したるうの心配もしてしまう。
「俺も本来そうすべきかとも思ったんだがなあ。どうにも俺はアイツの生き方に惹かれてるんで、俺の将軍人生全てを賭けたいと思ってる。」
「…じゃあ恋愛成就は諦めたの?」
将軍人生と言うことは。
一人の男として、一人の女を手に入れると言う願いはもう成就しなくていいのかと。レンは素朴な疑問を投げる。
それを聞いて、アキトはニヒルに笑う。
「手に入るなら願ったり叶ったりだ。」
「…俺はいつ会えるかな。」
「…まあ、あれだな。その内…ひょっこり来るだろ。場所分かってんだし。」
「アキトのとこには顔出すのに俺のとこには来てないし。怪我したって来ない。」
「会いたそうな顔はしてたんだがなあ。」
「え?」
「何かお前が怒ってるとかどうとか、そんなこと言ってたらしいけど。」

