(二)この世界ごと愛したい




「…お前の惚れた女に、わざわざハマるんじゃなかった。」


「相手がリンだから仕方ないよ。王宮にいた頃からバレバレだったし。それに恋愛は自由だよ。アキトは俺に気使いすぎ。」


「バレバレ!?」


「バレてないと思ってたの?」




分かりやすいアキトさんでした。


けど、気を使いすぎだとレン本人に指摘されてしまったので。もう包み隠さず話すことにしたアキト。





「…気持ち伝えてもう断られた。」


「リンだもんね。」


「ああ。けど諦めるにはデカすぎる想いだったんで、悪いが将印渡した。」


「…うん。」




レンは相槌を打つだけ。


今となっては結婚した事実は消し去られてしまった。そもそも私が手に入ったと思ったことがないレンに、アキトを責めることなど出来ない。





「…あと、ルイは降りたらしい。」


「え?」


「あんだけ大事にしてたから、どうせ吹っ切れてはいねえんだろうけど。」


「…ルイ。」




どこまでも優しいレンは、失恋したるうの心配もしてしまう。





「俺も本来そうすべきかとも思ったんだがなあ。どうにも俺はアイツの生き方に惹かれてるんで、俺の将軍人生全てを賭けたいと思ってる。」


「…じゃあ恋愛成就は諦めたの?」




将軍人生と言うことは。


一人の男として、一人の女を手に入れると言う願いはもう成就しなくていいのかと。レンは素朴な疑問を投げる。




それを聞いて、アキトはニヒルに笑う。





「手に入るなら願ったり叶ったりだ。」


「…俺はいつ会えるかな。」


「…まあ、あれだな。その内…ひょっこり来るだろ。場所分かってんだし。」


「アキトのとこには顔出すのに俺のとこには来てないし。怪我したって来ない。」


「会いたそうな顔はしてたんだがなあ。」


「え?」


「何かお前が怒ってるとかどうとか、そんなこと言ってたらしいけど。」