同時にそんな父の姿を思い出して、落胆の色が浮かぶ兄弟。
「ユイ姫とリンも会わずに済めばいいけど。」
「……。」
「リンに勘付かれてたよ。シオンが一手目の策練ってくれないって。」
「俺やる何て言ってない。」
「本当リンは嫌になるくらい優しくて困るよ。」
ユイ姫と私。
両極端な姫らしいけど。
相見えた時、一体どうなることか。
「…さっきの、色々ヤバかったよね。」
「さっきの?」
「シオンの服。オーバーサイズ可愛すぎて、色々理由つけて揶揄っちゃった。」
内心、非常に同意しているシオン。
だけど私の無防備さと無自覚さに呆れる気持ちも大きかった。
「…あれは馬鹿だ。」
「もう各国の男達が虜になるのも分かるけど、どうにかアキトに白羽の矢が立たないかなー。」
「もうフラれてたろ。」
「諦めてないから将印渡して今出掛けてるんだよ。」
「例の第三王子ね。武将でもないただの王子に、何でアキトは遠慮してるわけ。」
私と同じ疑問を抱くシオン。
「…アキトは人の気持ちに敏感だからね。レンとは過去に色々あったらしいし、引け目か負目感じて特に優しく接してるんだよ。」
「くだらない。」
「リンだって似たようなもんだよ。レンが鬼人を治す薬作ってくれたから謀反起こしたんだし。」
「…俺には理解出来ない。」
「大丈夫。俺にも出来ない。けど俺はそんなアキトとリンが好きだよ。」
そんな優しいトキが私も好きです。
レンとアキトの事情は全然知らないけど。いつか知ることがあっても私はきっと何も変わらない。
そしてそんな話をしている内にどうやら眠たくなってきたシオンは、トキの部屋でうたた寝。
トキはいつものことと気にも留めず再びお仕事。
晩ご飯の時間まで各々自由に過ごします。

