「パルテノン?隣国だね?」
「ハルに戦を吹っ掛けるのを彼女が受諾した時点で遠くに行くとは考えにくいからな。」
「けど、パルテノンって…。リン宛あるのかな。」
「…王都には行くなって釘刺しといた。」
この兄弟はパルテノン王都を良く知るらしい。
「情報屋に見つからないといいけど。」
「彼女の情報は高値が付くからな。見つかるようなら情報屋も買う人間も潰して回る事も考えるか。」
「…シオン冷静にね。情報屋は潰さないでよ。俺結構重宝してるんだから。」
「彼女に悪影響ならやむを得ない。」
あまりの私第一の考え方にトキは苦く笑う。
シオンは先を憂いて考え込む。
「…そう言えば、リンがエゼルタとは無縁じゃないって言ってたけどシオン何か知ってる?」
「…知らない。」
「言われてみれば昔、外部からの侵入厳禁なアレンデール城にシオンと父さんが行けたよね。それと関係してるのかな。」
「あれはアレンデールの記念式典で、アレンデールも渋々開城するしかなかったから偶然な。他国からも要人が湧いて来てたし。」
基本オープンな国のアレンデール。
だけど唯一王都、特に城はとんでもない式典以外では外部の人間に門を開かない。
そしてそんな時、決まって私の部屋は固く閉ざされる。
「じゃあエゼルタと何の縁があるんだろう。」
「…糞親父なら知ってるかもな。」
「でも俺等には父さん教えてくれないと思うよ。寧ろリンとの関係だってバレない方が良い。今後のためにもね。」
「当たり前だ。」
二人の父親。
それはきっと相当な曲者なんだろう。
何せこの性悪兄弟の生みの親だ。

