(二)この世界ごと愛したい




そのまま寝台にあがり、ごろんと横になる。


でも格好が格好なのでちゃんと布団を被って寝ます。





「……。」


「……。」




まだいるのは知ってるけど。


私はもう横になると眠たくなる性分なので、気にせず本気でこのまま寝ました。





「…あの。」


「……。」


「…寝るの早。」


「……。」




呆れたシオンが、文字通り呆れ返って。


馬鹿馬鹿しいとアキトの部屋を出て、本来用のあったトキの元へ向かう。





「シオン?リンは?」




部屋でまたお仕事中のトキ。


そんな部屋を訪れたシオンは、すぐに私の安否を問われる。




「アキトの部屋まで送らされてもう寝てる。」


「残念だったね。」


「…お前、彼女で遊ぶのやめろ。」


「シオンにそんなこと言われる日が来るなんて思わなかったなー。」




笑って流すトキをシオンは睨む。




「…明日はもっと厄介だ。」


「鬼人に会うんだよね?リンも会うんだって?」


「二人揃うとこ見るの久々だけど。嫌な予感しかしない。」


「俺はちょっと安心したよ。シオン一人で会うより、リンがいた方が安全でしょ。リンが鬼人から守ってくれるだろうし。」




シオンとハルが会うことを心配していたトキは、私がいればシオンが安全だと思っている様子。


確かに私がいればハルを止めることは可能だ。





「…どうだかな。」


「リンも鬼人に会えるの楽しみだろうね。」


「…兎にも角にも出陣を唆すのが上手く行けば良いけど。」


「そう言えばリンの次の行き先聞けた?」


「パルテノン。…たぶん。」




一度も肯定しなかった私なんですが。


私の僅かな動揺を感じ取り、ほとんどバレてしまっている現状。



シオンの言う通り、私はこの城を出た後はパルテノンに向かう。





…目的は、職探し。