そのまま寝台にあがり、ごろんと横になる。
でも格好が格好なのでちゃんと布団を被って寝ます。
「……。」
「……。」
まだいるのは知ってるけど。
私はもう横になると眠たくなる性分なので、気にせず本気でこのまま寝ました。
「…あの。」
「……。」
「…寝るの早。」
「……。」
呆れたシオンが、文字通り呆れ返って。
馬鹿馬鹿しいとアキトの部屋を出て、本来用のあったトキの元へ向かう。
「シオン?リンは?」
部屋でまたお仕事中のトキ。
そんな部屋を訪れたシオンは、すぐに私の安否を問われる。
「アキトの部屋まで送らされてもう寝てる。」
「残念だったね。」
「…お前、彼女で遊ぶのやめろ。」
「シオンにそんなこと言われる日が来るなんて思わなかったなー。」
笑って流すトキをシオンは睨む。
「…明日はもっと厄介だ。」
「鬼人に会うんだよね?リンも会うんだって?」
「二人揃うとこ見るの久々だけど。嫌な予感しかしない。」
「俺はちょっと安心したよ。シオン一人で会うより、リンがいた方が安全でしょ。リンが鬼人から守ってくれるだろうし。」
シオンとハルが会うことを心配していたトキは、私がいればシオンが安全だと思っている様子。
確かに私がいればハルを止めることは可能だ。
「…どうだかな。」
「リンも鬼人に会えるの楽しみだろうね。」
「…兎にも角にも出陣を唆すのが上手く行けば良いけど。」
「そう言えばリンの次の行き先聞けた?」
「パルテノン。…たぶん。」
一度も肯定しなかった私なんですが。
私の僅かな動揺を感じ取り、ほとんどバレてしまっている現状。
シオンの言う通り、私はこの城を出た後はパルテノンに向かう。
…目的は、職探し。

