(二)この世界ごと愛したい




「り、リンちゃ…ぐはっ!」


「今はごめん!お大事に!!!」




再び倒れていく隊士たちを横目に、私はひたすらアキトの部屋へ全力疾走。


後ろからシオンが何故か追いかけてくる。





「何で来るのー!?」




早く服返さないと。


一生追いかけ回されそう。それに今回は上手く逃げられたけど、たぶん次はこんなに上手くいかない。





「よし、ここを登ればっ!」




あとは階段を登るだけだと私は勝利を確信した。


何の勝利か知らないけども。





「この馬鹿っ…!」


「へ…?」




シオンがまた口を悪くして階段にいる私を捕まえて、抱き抱える。





「あんた何考えてんの。」


「な、何って…早く服返そうかな…って。」


「そのまま階段登ったら下から全部見えるけど。」


「……あ。」




いやー。


こんな丈の服着ることなかったからー。



盲点盲点。





「…し、失礼しました。」


「…はぁ。」




呆れ果てているシオン。


そのまま私を抱えてアキトの部屋に連れて行ってくださいました。





「ありがとうございますー。」


「あんたといると疲れる。」


「お疲れ様ですー。」


「…本当ムカつく。」




私は早く着替えるために服を探すけど、もうお風呂入っちゃったし。夜ご飯前だけどまだお腹空いてないし。とりあえず仮眠もアリだなと考え出した。




「この服もう少し借りていい?」


「は?」


「夜ご飯まででいいの。」


「…返さなくていいです。」




あ、無礼モード終わった。


シオンその切り替えめんどくさくないのかな。





「ここにシオンといるとアキトを傷付けちゃうらしいから、トキのところ行って来てー。トキに用だったんでしょ?」


「…アキト、ね。」


「じゃあおやすみー。」