どうしましょうか。
あんなもので済まないらしいシオンから、私はどうにか逃げたいと思ってるんですが。
どうにも逃してくれそうにはない狼さん。
「…隊士がその辺に転がってた。」
「あ、うん。私がやりました。」
「とんでもない美女に誘惑されて煽られて蠱惑されたって嘆いてたけど?」
「あ、それは私じゃないです。」
私そんなことしてません。
「…嘘。」
「嘘じゃないよ。トキに聞いてくれれば分かるから聞いて来て。」
「結構です。」
そうですか。
中々この人は撒けないんですよね。
一向に私がこの部屋から出るのを見逃してくれそうにないのに、特に用があるようにも見えない。
「何か用かな?」
「…貴女を部屋に戻す方法を考えてます。」
「え、目的同じじゃん。早く行こうよ。」
「…また誰か誘惑するつもり?」
「だからしてないって。」
あーめんどくさくなってきた。
着替えて服返そうと思ってたけど、シオンがこんな感じじゃ私の目的意味ないんじゃない?
「…トキは貴女に何を?」
「…それは言いたくないです。」
「随分楽しそうだったけど?」
「たっ…〜っ。」
こっちは楽しくなかったよ!!!
「…俺をイライラさせるの得意?」
「何でそうなるの!?」
「トキにはちゃんと反応するんだ?」
「なにが…っえ…?」
また、狼の目。
その目で私の腕を掴んだこの人。
「安心していい。もうあんたの事しか見ないって決めたから。」

