(二)この世界ごと愛したい





「ちなみにシオンに見つかるとこんなもんで済んでないからね?」


「っ!?」




心を読まれた!?



そう焦った直後、部屋のドアが開く。


私は助かったと期待の眼差しでドアの方を見る。






「…済まない人、来ちゃったけど。」


「本当だ。」


「え、見つかったらどうなるんだっけ。シオンが倒れるって話だっけ。倒れてないけど。」


「本当に本当だ。もっと恐ろしいことになるって俺言ったけど、今は俺がピンチだから。リン頑張ってね。」




え?頑張ってって?何を?



シオンがドアの前に立ち尽くしてるのを良いことに、トキは一目散に逃げて行った。



え?どうしたらいいの?





「とっ、トキ!?」


「…もういませんけど。」


「早っ!?」


「…貴女は一体何をしてるんですか。」




弟君に虐められてたんですよ!!!





「あ、いや…私はトキにシオンから隠れろって…言われたから…?」


「それで?」


「か、隠れてた…けど。トキとの攻防戦の、途中で…今に至ります?」


「…意味不明な説明どうも。」




ですよね。


私も話しながら意味分からんと思った。



とりあえず倒れる心配はなさそうなシオンなので、私は座り込んでいたところから立ち上がる。





「じゃ!私も失礼します!」


「…あの。」


「うん?」


「その格好何?」




あー説明するのも面倒です。


服はちゃんと返すから待ってほしいです。




「返す時に話すねー。」




足早にアキトの部屋へ向かおうとする私を、今度は兄が阻む。