(二)この世界ごと愛したい





「…エゼルタの王都かー。無縁じゃないから謀反は嫌なんだよなー。」


「え?リン行ったことあるの?」


「行ったことはないけど。それよりもトキの親御さんは偉い人なの?」


「…んー、そこも内緒…かな。」




情報は武器だと知ってるトキ。


国の事情も家の事情も、中々明らかにならない。





「ごめんね?」


「トキは謝らなくていいの!私だって秘密あるし!」


「リンの秘密は暴きたいなー。」


「そ、それはフェアじゃないよ!」




トキの秘密は暴かない。


だから私のも暴かないでください。





「やっぱ気になるなー。どうしたら教えてくれる?」


「と、トキが教えてくれたら…?」


「その勝ち目もないのに歯向かう感じがまたイイんだよね。」


「勝ち目ないの!?」




知りませんでした!!!


あるって勝手に思ってました!!!






「じゃあ、抗ってみる?」


「っ…!?」




忘れていたよ。


この兄弟って性悪だった。



部屋の隅に追いやられた私は、意地悪モードのトキさんに迫られる。





「あ、アキトが困るのでは…?」


「ちゃんと学習して偉いね。でも大丈夫だよ。俺は本気じゃないってアキトは理解してるから。」


「そんなのずるい!」




私をぎゅっと抱きしめた体制で、トキが耳元で囁く。






「じゃあさっさと吐いちゃえば?」


「〜っ!!!」




耳にかかる息に思わず火照る。


そんな私を揶揄うようにトキが笑って、顔が耳元から離れたかと思えば今度は手が伸びてくる。





「俺が怪我する前に早く吐いてね?」


「やめっ…て!トキっ!」


「頑張ってみてー。もう色々危ういけど。相手が俺で良かったね。」




完全に玩具にされています。


シオンに見つかった方がマシだったんじゃないの!?