「…エゼルタの王都かー。無縁じゃないから謀反は嫌なんだよなー。」
「え?リン行ったことあるの?」
「行ったことはないけど。それよりもトキの親御さんは偉い人なの?」
「…んー、そこも内緒…かな。」
情報は武器だと知ってるトキ。
国の事情も家の事情も、中々明らかにならない。
「ごめんね?」
「トキは謝らなくていいの!私だって秘密あるし!」
「リンの秘密は暴きたいなー。」
「そ、それはフェアじゃないよ!」
トキの秘密は暴かない。
だから私のも暴かないでください。
「やっぱ気になるなー。どうしたら教えてくれる?」
「と、トキが教えてくれたら…?」
「その勝ち目もないのに歯向かう感じがまたイイんだよね。」
「勝ち目ないの!?」
知りませんでした!!!
あるって勝手に思ってました!!!
「じゃあ、抗ってみる?」
「っ…!?」
忘れていたよ。
この兄弟って性悪だった。
部屋の隅に追いやられた私は、意地悪モードのトキさんに迫られる。
「あ、アキトが困るのでは…?」
「ちゃんと学習して偉いね。でも大丈夫だよ。俺は本気じゃないってアキトは理解してるから。」
「そんなのずるい!」
私をぎゅっと抱きしめた体制で、トキが耳元で囁く。
「じゃあさっさと吐いちゃえば?」
「〜っ!!!」
耳にかかる息に思わず火照る。
そんな私を揶揄うようにトキが笑って、顔が耳元から離れたかと思えば今度は手が伸びてくる。
「俺が怪我する前に早く吐いてね?」
「やめっ…て!トキっ!」
「頑張ってみてー。もう色々危ういけど。相手が俺で良かったね。」
完全に玩具にされています。
シオンに見つかった方がマシだったんじゃないの!?

