(二)この世界ごと愛したい





身体を温めて脱衣所に戻ると、私はここで重大なミスに気付く。


私は確かにハナちゃんにシオンの服をそのまま着ると伝えたので、上は間に合ってるけど。



…下の服借りたいと伝えるの忘れた。




「あちゃー。」




ダメ元でシオンの服に再度袖を通すと、やっぱりぶかぶかなのでミニ丈のワンピースにならないこともない。


人生山あり谷ありですね。




「隠れてるしいっか。」




私は完全に開き直り、シオンの服のみを着た状態で浴場を出る。


そのままアキトの部屋に一度戻ろうと歩いていると、すれ違う隊士たちが悶え苦しみながら倒れていく。




…コイツ等失礼だな!?!?



見苦しい格好で歩いている手前、文句も言えず私は振り返ることなくそのまま進みます。





「やっぱ部屋に戻って着替えよ。」




そしてシオンに服返してあげよう。



それにしても今日の稽古はあんまり上手くいかなかったなー。火力に単純に頼るんじゃなくて、もっと細かく使うことが出来れば体力温存に繋がると思ったけど。


その分集中力が必要になるから気力が疲れる。






「リン!」


「トキー、お風呂先にいただきましたー。」




ここでトキと遭遇。


驚いた顔で私を見ているトキさん。





「…何だってそんな格好でふらふら歩いてるの。」


「あーお風呂上がりにハナちゃんに服借り損ねちゃって。とりあえずアキトの部屋に戻って着替えてくるねー。」


「ちょっと待って!俺も行くから!」