(二)この世界ごと愛したい





「じゃあ私も自分の稽古してくるー。」


「え?雨の中?」


「私の場合は雨の方が都合が良いんだよね。」




トキとシオンを部屋に残し退室。


私はそのまま城の外を目指す。





「…さて。」




土砂降りの雨の中へ。


私は一歩踏み出す。



火龍の炎を器用に操作し、その雨粒が自分に触れないように。絶妙な調整で炎を繰り出す。



炎の放出を操作する修行です。



…地味ですが。





「冷たっ!」




まだまだ火龍さんとは付き合いが浅いので、地味なくせに意外と難しい修行です。失敗もします。


この調整が上手く出来るようになれば攻撃の幅はまた大きく広がる。



そして雨なので、仮に私が火力を間違えても燃え広がらない利点がある。だから雨の日は私の稽古にうってつけなんです。





「…マサ、ちゃんと着いたかな。」




ハルとソル第一将の戦。


正直、シオンの言う通りハルでも苦戦するだろう。ソルは人口が多い。人口が多いと言うことはそれだけ軍の規模も大きくできる。



こちらから討って出ると言うことは、ソルは自国から兵を増員し続けることができる。





「スピード勝負か、或いは奇襲紛いで虚を突くか。」




…違うな。


ハルにはそんな小細工必要ないか。




いつものように疾風迅雷。ただ目の前を切り開いて行くだけ。



特段、私からの策なんて必要ないだろうな。