(二)この世界ごと愛したい




じゃあ開戦時は決定的じゃん。


るうの時も思ったけど、一体どんな気持ちで…って考えるのはやめよう。考えてもどうにもならない。





「…今が人生最大のモテ期かも。」


「寧ろここからじゃない?」


「もう無理だって。これ以上好かれたら本物の魔女だよ。」




世の中に綺麗な人も優しい人もたくさんいる。


こんな浪人者より、家庭的で温かい人もたくさんいる。私にないものばかり持ってる人は多い。




「リンに近付くとなんか離れたくなくなるんだよね。」


「…やっぱこの力が惹き寄せるのかな?」


「違うよ。リンが可愛くていい子だからだよ。」




恋するタイミングも、きっかけも、その気持ちの大きさも人それぞれで。やっぱり基準となるものさしがない分私には到底理解が出来ない。





「なんかもう良くないものまで惹き寄せてるっぽいから、ちょっと私も身の振り方考えなきゃ。」


「リンには無理だよ。」


「…トキさん辛辣。」


「もうお勉強は満足してくれた?」




満足はしてないけれども。


あんまり私に付き合わせて時間を奪うのも申し訳ないので、この辺で切り上げることにします。





「うん、また時間出来たら教えてね!」


「軍の強化が早めに終わればいくらでもいいよ。」


「…そのことで吉報だけど。たぶん私あと三回くらい稽古したらアキトに負けちゃう。」


「え、本当?」




情けないことに本当です。


元々そのつもりで始めたし、成長してくれて私も嬉しいんだけども。





「…桜花爛漫の時は近そう。」


「ありがとう、リン。」


「とんでもない。私に勝てるくらいで満足しないように今後もサボらせないでね。」


「そこは任せといて。」