そして私はトキと模型を使って戦術を教えてもらってるんだけど。
もう軍師の頭の中はやはり凄い。
教える時も順序立ててくれるから分かりやすいし、無駄がないのが分かる。
「実践経験がある分リンは飲み込み早いね。」
「トキの教え方が上手なんだよー。斥候動かすのって、あんまり本陣から離すとやっぱダメなの?」
「下手に離しすぎると斥候隊全滅するから俺はやらないかな。」
「…斥候隊も警備隊も私使ったことないからなー。敵に近付けすぎず味方から離さず…。感覚難しい。」
私のレーダーがあれば斥候なんて意味をなさないので。
今まで必要なかったけど。やはり重要な役割だ。軍編成の際には出来るだけ小回り利く子を配置しなきゃ。
「慣れればリンなら簡単だよ。」
「…たぶん慣れても簡単ではないよ。これ私の苦手分野だから。」
敵の情報を掴むのも。
自軍を敵から守るのも。
自分で出来てしまうから。自分のことしか信じられない私には寧ろ必要なかった。
「リン苦手なの?」
「…そのことに気付いたアキトに戦は向いてないってはっきり言われちゃったからなー。」
「アキトが?」
「気付いたところで私にそんなこと言う人なんていなかったから。思わず泣かされたんだけどね。」
もう懐かしくもあります。
そんなアキトがいてくれて本当によかったと、あの時も今も思ってる。
「アキトは馬鹿だからね。」
「でもはっきり言ってもらえて良かったよ。あのまま戦続けるのは良くないって分かってたし。それに…。」
「…それに?」
あの時、私をずっと見ていてくれるって。
言ってくれたアキトは、既に私のことが好きだったり…したんだろうか。
そうだとしたら?
「っ、な…なんでも…ない。」
「何思い出したの?」
「なんかとんでもなく恥ずかしくなって来た。アキトっていつから私が好きなの!?」
「え?視察の時からじゃないの?」
「結構前だね!?」

