「俺は斬るつもりだったけど、彼女に止められて彼女が逃した。」


「はぁ…。生け取りにしてほしかった。」


「…ソルの将。友達だと言ってた。」


「あの忍者将軍か。」




昨日の出来事を簡潔にトキに報告。




「片目を失ってもう戦える状態じゃなかった。」


「この国の国境、リンに押し戻されちゃったからその罰が下ったのかな。ソルは野蛮だね。」


「…国境よりも彼女に会っておきながら彼女を逃した事の方が我慢ならなかったんだろ。」


「リンはまた厄介なのに狙われてるなー。」




シオン将軍の知るソルの第一将は、どうやら相当曲者らしい。


二人が心配してくれているがこの話もまた、地図に夢中な私には届かない。




「…ソルにアレンデールを当ててハルに第一将を討たせる。」


「ソルの第一将、情報屋の話じゃ血眼でリンを探してるって言ってたもんね。」


「あの男にだけは近付けられない。けど、ハルをどう説得して出陣させるかが問題だな。」


「俺も時間があったらその戦気になるし観戦に行こうかな。」




私の意識のないところで兄弟は淡々と話している。


どうやら二人とも甘い物が好きなようで、それはもうほとんど食べ終えてしまう。





「…もう他国には奪わせない。」


「…だからちゃんと向き合えって言ってんのに。」




セザールへ戦利品として奪われたことを、実はずっと悔やんでいたシオンという人。




「もうアレンデールにさえ帰してやりたくない。」


「…重症じゃん。」


「でもそれは実質無理。彼女はどこにいたってアレンデールのために血を流す。それにハルと彼女には切っても切れない繋がりがある。」





私は国にいなくても、外からアレンデールを守るために動くだけ。


そして、ハルと私の絆。



…流石の読みです。