良く分からんけど気を付けよう。


気を付けなきゃいけないこと多いなー。




「よし!トキのお部屋行こー!」


「良いけど何するの?」


「あの地図頭に全部入れる。余力があればトキに戦術でも習いたいなー。」


「戦術なら俺より適任がいるけど…って、シオンどこ行くの?」




食べ終わると無言で立ち上がり、一人で広間を出て行ったシオン。


トキの言葉に返事もせず。



…ダメなお兄ちゃんだ。




「全く。シオンは何であんなに人のこと考えて動けないんだろう。」


「…でもトキもなんだかんだお兄ちゃんっ子だよね。」


「寒気するから冗談でもやめて。」




そんなことを話しながらトキの部屋にやって来て、私は黙々と地図を眺める。



マサの話ではまだ猶予はあるらしいけど、とりあえず急ぐに越したことはないから。何が何でもこの地図だけは詰め込みたい。




それはもう脅威の集中力を再び発揮する私。


トキがまたかと嘆きつつ、自分の仕事をするために机に向かっている。



そこへシオンがやって来るが地図に全集中しているので気付かない。見向きもしない。






「え、シオン何それ。」


「貰って来た。」




その手に持っていたのは甘いお菓子の山。




「…気味の悪いことしないでよ。どこまでリンに絆されてんの。」


「お前じゃなくて、彼女に許してもらえないのは困るだけ。絆されてない。」


「…リンは恐ろしいな。」


「…今度は地図と睨めっこか。」




どこか懐かしむように。


地図を眺める私を見ている兄弟。





「昔のシオンにそっくりだなって俺も思った。」


「…俺はここまでのめり込んでない。」


「いや残念だけどほぼ同じだよ。周りの声も聞かずに没頭するとこ。」




兄弟仲良くお菓子を摘み出した二人。




「…城の警備気を付けろ。夜中鼠が一匹入ってた。」


「え、本当?」


「今後も有り得る。狙いが彼女で、彼女もそれに気付いてる。」


「シオン逃したの?」