広間へ向かうために朝の支度を今頃行い、きちんと着替えました。


今日は稽古がないので、ハナちゃんお得意の可愛いお洋服。



暑い季節なので袖は短いし、スカートの丈も気持ち短い…気がするのは気のせいではないはず。




「うーん。」




たぶん傷跡が露見しないようハナちゃんが気を利かせて羽織を置いてくれているけども。



…この格好は誰得なの?





「着替え終わりました?」


「え…あーうん。」




外で何故か待ってくれているシオンがいるので、一旦考えを止めて部屋を出る。




「……。」


「…私の趣味じゃないからね。ハナちゃんがお洋服貸してくれてるの。」


「……。」


「…行こ。もう分かってるからそのまま何も言わないで。」




どうせ似合いませんよ!!!


すみませんね!!!




開き直った私と、黙ったままのシオン。


二人で広間へ入ると隊士達も何か言いたそうにこちらを一斉に見る。



…室内稽古やってやろうか。





「ぐはっ…!」


「何だこの破壊力は!?」


「ハナさんナイスすぎる!!!」




黙っていたかと思いきやそれも一瞬。


普段通りの馬鹿騒ぎが始まる。



その中で、奥にぶすっと機嫌悪そうに膨れて座っているトキを見つけたので私は駆け寄る。





「トキおはよう!こんな時間まで寝ちゃってごめん!」


「…おはようリン。」


「なんか怒ってる?やなことあった?」


「…リン、昨日アキトに将印貰ってたよね?」




…も、貰った。


私の中では預かったという位置付けですが。




「その後すぐにシオンと寝てるって何?しかもこんな時間まで?それもアキトの部屋で?」


「い、いや…最初は私先に寝てて…隣にいるなんて思わなくて…。」


「アキト不在だからってそれは流石に酷だよ?」


「…ごめんなさい。」




シオンの不手際で私が怒られた。


当の本人はケロッと涼しい顔で既にご飯を食べ始めている。




「アキトは逞しいし強いよ。だけどアキトの気持ちも分かってあげてね。不条理に傷付けることはしないように。」


「…気を付けます。」


「ちゃんと反省出来て、リンは偉いね。」




ぽんぽんと私の頭を撫でて許してくれたトキ。


だけど次のお説教の矛先は私と一緒にいたシオンへ向きます。