朝だからだよ。
起床時間だからだよ。
そう思っているのに私を包むこの人は、どうも私を離してくれる気配がない。
「…ちょ、え?もうお昼前…?」
「久々に良く寝た。」
「あー…でもまだ眠い…。」
「…俺はもう大丈夫です。」
じゃあ離してくれよ。
未だに抱き付かれたままなのよ。私抱き枕じゃないのよ。そして無駄に近いのよ。
「…あの?」
「何か?」
「だから離して。」
「…何で?」
これ何回繰り返せばいいの?
「…何でも。女の人苦手だって言ってたじゃん。」
「言いましたね。」
「じゃあ離れた方が良くない?」
「…別に大丈夫です。」
ごめんねー。
私が大丈夫じゃないんだー。
「私はのんびりしたいの!」
「どうぞ。」
「落ち着かないんだって!」
「…何で?」
さっきから何で何でって。
こんな窮屈な思いして、ましてや打ち解けたかどうかも怪しいような人相手に落ち着くわけがない。
「私のこと嫌いかも知らない人相手に落ち着けません!」
「嫌い?」
「苦手か嫌いかは知らないけど…っちょ…!?」
回された腕が、更に私を引き寄せる。
もうシオン将軍の身体と隙間なくぴったりくっ付いてしまった私。
「…貴女に近付かれるのは悪くない。」
「近付けてるんでしょう!?」
私が寄って行ったみたいに言わないでほしいです!!!
「まだ遠いような気もする。」
「これ以上なんてないから!!!」

