私の唇から離れたシオン将軍。
どこか柔らかい表情で。
「…次は、もうあんたしか見ない事にする。」
そう言った言葉は私には届きはしないけど。
シオン将軍はそっと私の髪に手を伸ばす。ハナちゃんが乾かしてくれた髪をサラサラと掬って落とし、掬って落とし。
「…あの女と違う。」
自嘲気味に笑って。
そのまま私の髪を撫でるこの人。
遠慮なく私の隣に横になり、うつ伏せのまま眠った私を引き寄せる。
「…忘れろなんて簡単に言うな。」
想わないことも、考えないことも。
簡単なことではないと。
「あんたが居たから耐えられたんだ。」
その腕の中の私を自分の胸に引き寄せる。
女性恐怖症なんて信じられないほど、大事そうに抱え込むその腕。
シオン将軍は食事前までアキト同様お昼寝していたにも関わらず、再び夢の中へ誘われる。
それはきっと幼い二人の、始まりの夢。

