「ハナちゃん、サクに会いたい?」
「え…?」
戦国の世で。
戦に出た人を待つ家族とは、私は本当に強いなと尊敬している。
ママもかつて、時には年単位で城に戻らないパパを、城でずっと待っていたこともあった。
「それは、会いたい…けど。でも、私はちゃんと信じて帰りを待ってる!」
そう。
ママもこう言って、ただ待っていた。
「…ハナちゃんは強いね。」
「何言ってるの!リンちゃんの方がずっと強いよ!私は戦うことなんて出来ないし…!」
ハナちゃん。
違うんだよ。
私は弱いから、戦うことしか出来ないんだよ。
支度を終えた私は、ハナちゃんと一緒に再びアキトの部屋へと戻る。
「アキトさん、それでお食事どうします?」
「……。」
「リンちゃんに見惚れるのは分かりますけど早く決めてください!」
「…あ、ああ!?見惚れてねえよ!!!」
私はママが用意してくれた、また別パターンの服を纏い今髪を結んでいるところ。
不意に私の名前が出たのでアキトをチラッと見る。
「…邪め。」
「誰が邪だあ!?」
アキトを揶揄っている間に、準備は整った私。
立ち上がり、大事な大事な剣を帯剣。
…本当に不思議だ。
二本の剣が、私に力をくれる気がする。一人で戦うわけではないと教えてくれる気がする。
「ハナちゃん。」
「なあに?」
「夜には、サクに会わせるから。」
「え?」
必ず、会わせてあげる。
サクに会いたいと言ったハナちゃんの願いを、叶えてあげたいと思う。

