(二)この世界ごと愛したい





「ハナちゃん、サクに会いたい?」


「え…?」




戦国の世で。


戦に出た人を待つ家族とは、私は本当に強いなと尊敬している。



ママもかつて、時には年単位で城に戻らないパパを、城でずっと待っていたこともあった。





「それは、会いたい…けど。でも、私はちゃんと信じて帰りを待ってる!」




そう。


ママもこう言って、ただ待っていた。





「…ハナちゃんは強いね。」


「何言ってるの!リンちゃんの方がずっと強いよ!私は戦うことなんて出来ないし…!」





ハナちゃん。



違うんだよ。




私は弱いから、戦うことしか出来ないんだよ。





支度を終えた私は、ハナちゃんと一緒に再びアキトの部屋へと戻る。




「アキトさん、それでお食事どうします?」


「……。」


「リンちゃんに見惚れるのは分かりますけど早く決めてください!」


「…あ、ああ!?見惚れてねえよ!!!」




私はママが用意してくれた、また別パターンの服を纏い今髪を結んでいるところ。


不意に私の名前が出たのでアキトをチラッと見る。





「…邪め。」


「誰が邪だあ!?」




アキトを揶揄っている間に、準備は整った私。




立ち上がり、大事な大事な剣を帯剣。



…本当に不思議だ。



二本の剣が、私に力をくれる気がする。一人で戦うわけではないと教えてくれる気がする。







「ハナちゃん。」


「なあに?」


「夜には、サクに会わせるから。」


「え?」




必ず、会わせてあげる。


サクに会いたいと言ったハナちゃんの願いを、叶えてあげたいと思う。