(二)この世界ごと愛したい





「大丈夫だよ。シオンもう怒ってないから。」


「…そ、それは良かったけど。なんでアキトは私に黙って行っちゃったの?」




怒ってなさそうには見えないシオン将軍。


これを置いて行ってほしくなくて、トキを引き留める作戦に出た私。話振りまくって時間を稼ごう。



…もう眠いのに。




「お風呂上がりのリン見たら行きたくなくなるからって、早々行っちゃったよ?」


「〜っまた邪…!」


「…やっぱこれでこそリンだよね。」




これでこそ…とは?




「真っ赤で可愛いってこと。」


「っそ、そうだ!私今日はトキのお部屋に…あ。」




トキのお部屋に泊めてもらって、地図でも眺めて寝ようと思ったけど。


めちゃくちゃ今更だけど。聞いてしまった以上、恐怖症という言葉が私の動きを止めてしまう。





「…私寝ます!シオン将軍、お話の続きはまた今度!二人ともお休みなさい!」


「リン眠くなっちゃった?」


「う、うん。」




私が気にしている距離を、逆に気にしてないトキが自然に近付きそっと頭を撫でてくれる。


…距離感難しい。




「ねえ、リン?」


「うん?」


「俺は確かに女の人嫌いだけど、リンのことは好きだよ。」




にこりと笑うトキに安心する。


会ったことはないけど、トキをそうしてしまったのが婚約者のお姫様だとしたら。私はやっぱりそのお姫様を許せそうにはない。





「私女の子らしくなくてよかった。」


「え?」


「じゃないと、トキと仲良くなれなかったもんね。」


「あーそういうことか。」