「大丈夫だよ。シオンもう怒ってないから。」
「…そ、それは良かったけど。なんでアキトは私に黙って行っちゃったの?」
怒ってなさそうには見えないシオン将軍。
これを置いて行ってほしくなくて、トキを引き留める作戦に出た私。話振りまくって時間を稼ごう。
…もう眠いのに。
「お風呂上がりのリン見たら行きたくなくなるからって、早々行っちゃったよ?」
「〜っまた邪…!」
「…やっぱこれでこそリンだよね。」
これでこそ…とは?
「真っ赤で可愛いってこと。」
「っそ、そうだ!私今日はトキのお部屋に…あ。」
トキのお部屋に泊めてもらって、地図でも眺めて寝ようと思ったけど。
めちゃくちゃ今更だけど。聞いてしまった以上、恐怖症という言葉が私の動きを止めてしまう。
「…私寝ます!シオン将軍、お話の続きはまた今度!二人ともお休みなさい!」
「リン眠くなっちゃった?」
「う、うん。」
私が気にしている距離を、逆に気にしてないトキが自然に近付きそっと頭を撫でてくれる。
…距離感難しい。
「ねえ、リン?」
「うん?」
「俺は確かに女の人嫌いだけど、リンのことは好きだよ。」
にこりと笑うトキに安心する。
会ったことはないけど、トキをそうしてしまったのが婚約者のお姫様だとしたら。私はやっぱりそのお姫様を許せそうにはない。
「私女の子らしくなくてよかった。」
「え?」
「じゃないと、トキと仲良くなれなかったもんね。」
「あーそういうことか。」

