どうやらアキトが将印の花を選ぶ際、相談に乗ったのはお花に詳しいハナちゃんだったらしい。
でも花の名前も碌に知らないアキトが選ぶのは難しくて、一緒にお花屋さんまで見に行った経緯があったことを教えてくれた。
「お花屋さんでアキトさんが一番最初に手に取ったのが椿の花だったの。」
「直感だったんだねー。」
「椿の花を見た時にアキトさん言ってたの。」
お花屋さんで紅椿の花を見つけたアキト。
『…アイツにそっくりだな。』
『アキトさんちゃんと見ました?他にも色んな種類ありますけど?』
『他の花なんて興味ねえよ。コレにする。』
『え!?決めるの早いですしアイツって誰のことですか!?』
『…誰でもいいだろ。決まったし帰るぞ。』
こうして決まった将印の花。
お花屋さんの滞在時間、約十秒。
「アイツってリンちゃんのことだったんだなーって今思い出した!だからあの将印は元々リンちゃんの所に来るべくして来たんだよ!」
「そ、そうかな…。私そんなに椿に似てる?昔ママにも言われた気がするんだよね。」
「花言葉は“気取らない優美さ”。正にリンちゃんを表す花だね!」
優美なんて、私には無縁な気もするけど。
けどアキトは結構私のことが好きらしいです。渡すかどうかも分からない将印に、その花を刻んでしまえるほど。
「私意外と想われてるなー。」
「トキさんもリンちゃんのこと大好きだもんね!」
「トキは本当に可愛くて…。って、トキはでも女の人苦手なんだった。忘れてた。」
「いやいや、リンちゃんには無効だよ?」

