お風呂に入る前に、アキトにもらった将印を見て驚き慌てふためくハナちゃん。
そして何とも言えない複雑な私。
…ちゃぷん。
湯船に浸かってガールズトークに花開く。
「すごい!あのアキトさんがプロポーズなんて!」
「いや…それが告白はお断りしたんです。」
「ええ!?じゃあ将印は!?」
「断ったけど…持ってろって。受け取った私も悪いんだけど、もう何言っても返戻させてくれないから私が根負けしちゃって。」
ハナちゃんは驚きつつも、嬉しそうに笑う。
「アキトさん頑張ったんだね。」
「え?」
「リンちゃんのこと、一生好きでいるって決めたんだね。」
「…最終的に預かるってことにしたんだけど。」
ぽかぽかのお風呂。
可愛いハナちゃん。
さっきまでのシオン将軍との揉め事も忘れるほど、私の心は癒やされていく。
「正直言うと、受け取るの嫌だったの。」
「…アキトさんのため?」
「想いを返せない私がアキトの心を縛るみたいで、ちょっと怖くなって。」
「そっかー。私が知る限りではアキトさんがこんなに一人の女の子を大事にしてるの見るの初めてなの。だから出来れば幸せになってほしいなって思うけど…。」
…ですよねー。
相手が私じゃなければ良かったのに。
「でもリンちゃんじゃないとダメなんだよ。」
「え?」
「それでもリンちゃんしか好きになれないってアキトさんは思ったんだよ。」
「…アキトは馬鹿だもんね。」
確かにとハナちゃんが笑う。
「リンちゃんがリンちゃんらしく、笑顔で過ごせることがアキトさんは嬉しいと思う。」
「…そうだね。」
「そう言えばアキトさんの将印の花、知ってる?」
「椿の花だったよね?椿とは知らずに選んだみたいだったよ?」
何故椿にしたのかは知らないけども。

