「…あれ?トキとシオン将軍…?アキト来なかった?」


「リンどうかしたの?って言うかさっきまでリンが追いかけられてなかった?」


「アキトが今からレンのところ行くって言うんだけど、私がここにいることレンに話すって言うの!だから止めようと思って私が追いかける羽目になったの!トキもアキト止めて!!」


「あーうん。簡単だからいいよ。」




簡単なの!?


レンにバレると色々ネチネチ言われそうで私はこんなに怯えているというのに。



…流石はトキさんです。





「何か空気重いね?私お邪魔しちゃった?大丈夫?」


「…ちょっと仕事の話。もう終わったから問題ないよ。それよりアキトこんな夜中に出発なんて何考えてるんだか。引き摺ってくるから待ってて。」


「トキすごい!頼りになりすぎる!!」




意地悪なアキトなんてけちょんけちょんにしてください!


寧ろそんな意地悪いことを考えている私はアキトを探しに行ったトキの背中を見送る。






「…酒は抜けたみたいですね。」


「うん、もう大丈夫。シオン将軍も面倒見てくれてありがとうー。」




お手数おかけしてすみませんでした。


そしてそろそろお風呂も入りたいし、遊び疲れて眠たくなってきた私です。





「…あ、そうだ。」


「…?」


「これ、お先にどうぞー。」


「本?」




シオン将軍と再会した街の書店で、シオン将軍が興味を持っていたという科学の本。


実は天候の本と一緒にアキトに買ってもらった。



その本をシオン将軍に差し出す。




「気になってたってお姉さんに聞いたの。」


「…どうも。」


「そのお礼の言い方、昔とそっくりだねー。私もだって言われたけどシオン将軍も昔の方が可愛げあったなー。」


「…貴女に可愛げないなんて言いましたっけ。」




言ったよ。


きっちりはっきり言ってたよ。



あの頃“は”可愛かったって。