「リン!!!」




少し遠いアキトの大声が私の耳に届く。



失恋から立ち直ったのかなと考える余裕もなく。やらかしたと焦る私。



勝手に出て来て心配をかけてる。


これ相手がハルだったなら私は間違いなく暫く付き纏われて自由を奪われる。





「ど、どうしよ…!?」




行くんだよ?


ちゃんと戻るんだけどさ?




…絶対怒られる。






「も…戻ろう。」




意を決して、城の中へ怒られるため向かいます。




すぐに私を探していたと思われる隊士に発見された私は、慌てて口を封じる。




「り、リンちゃん!?」


「自首するんで…大丈夫、です。」




私の負のオーラに気付いて黙っててくれる優しい隊士の方々。ありがとうございます。







「…あ。」




遠目にアキトを発見。


般若の如き顔で私を探して走ってます。




…こ、怖い!!!



やっぱり自首なんて無理かもと逃げ腰になる私を、アキトの鋭い目が捉えた。





「っ!!」




もう逃げられませんね。


逃げるつもりないんですけどね。



大体シオン将軍はなんでアキトにチクったんだ。自分で探せよ。


なんて理不尽な逆ギレ。






「リン!!!」


「アキトごめっ…ん…。」




私の元へ猪突猛進で走ってくるので、てっきり怒鳴られるか殴られるかと思い反射で謝った。


けど、その勢いとはかけ離れるくらい。



私を瞬時に優しく抱き締めたアキト。






「…無事か?」


「無事…です。」


「よかった。焦らすな馬鹿。」