(二)この世界ごと愛したい




翌日。



私は朝から王宮へ向かい。


戦場へ赴き前線を押し上げる…予定だった。





「…ん…うー。」


「……。」


「るー…?」


「…ルイならいねえぞ?」




長年の癖とは厄介で。


寝起きでまず探してしまうのはるうの姿。





「んー…。」


「寝起き悪いっていうか、ただ単に朝弱いだけじゃねえか。」


「…る、ひっぱ…て。」


「だからルイはいねえって。」




るうが、いない。



そうか。


私城を出てアキトのところに…。



徐々に覚めてきた頭。思い出してきた記憶。それを糧に開けたくない目を開ける。





「…おは、よ。」


「ああ、おはよう。」



るうのコーヒーが欲しいけど、そんな我が儘は言えない。


早く慣れろ!私!!!




「あー、王宮行かなきゃ…。今何時?」


「昼過ぎ。」


「あー、昼…過ぎ?」




朝じゃないのっ!?!?




「なっ…嘘!?」


「嘘じゃねえよ。」


「なんで起こしてくれないの!?」


「お前は子供か!?」




るうがいないって、本当に厄介。


私はまだまだ甘ったれの姫の余韻が抜けないようで、起きて早々アキトに当たり散らす。





「アキトの鬼!大体この時間までアキトは何してたの!?」


「ああ!?お前が起きねえように気を利かせて静かにしてたんだろうが!?」


「気の利かせ方間違えてるから!私出掛けるって言ったよね!?」


「そんなもん俺が知るかよ!!!」




せっかく仲直りしたのに、早くも喧嘩勃発。