シオン将軍は不思議そうにした後、何か納得したようにその手を戻す。
「…怖がらせてすみません。」
「こわい?」
「違いました?」
「苦手って…いってたじゃん。」
女性は苦手で嫌いだと。
私がシオン将軍を起こした時に感じた殺気は、きっとそこから来るものだろうと言うことも察した。
知った以上はお互い近付かないが吉。
「俺のため?」
「うん。」
「あんな目に合って?自分の心配じゃなくて?」
「うん。」
それにしても女性が嫌でも、邪な感情は抱いてしまうという。男性は難儀な生き物だ。
シオン将軍はあの時どんな気分だったんだろう。
嫌々だとしたらなんの償いにもならなかったんじゃないだろうか。
「だいじょぶ。前ほど…酔ってない。」
「…大丈夫には見えませんけど。」
「ほんとほんと。」
「とりあえず移動しましょう。そこからトキ呼びに行くんで。」
もう逆らう気力もないし、私も早くトキに戻って来てほしいので従います。
向かったのはさっきのシオン将軍が寝ていた部屋。
「真っ直ぐ歩けません?」
「うんー。」
「…遅い。抱えていいですか?」
「うんー。」
ふわりと私を持ち上げたシオン将軍。
苦手だろうにいいのかと思ったが、それより気になったのは。
…こんな時は横抱きかい!!!
出来たんなら前飛んだ時もこうしてほしかったと言う不満が蘇る。
「…いじわる。」
「は?」
「…なんでもない。」
あの時はあまりに毛嫌いする私に対しての嫌がらせだったんだろうな。
本当この兄弟は意地悪に長けている。

