シオン将軍は未だ飲み続けている。
私とアキトの恋愛沙汰に興味もなさそう。
そして女性が苦手だと聞いてしまった以上、私からもう何かすることは出来ない。
「……。」
「……。」
トキ早く帰って来てー!!!
「…あの。」
「え?」
「酒、トキがもう止めてませんでした?」
再び飲み始めた私を指摘するシオン将軍。
…この状態で飲まずに何しろと?
「後で謝るよー。」
「謝って済むかは知りませんけど。」
「大丈夫大丈夫ー。」
「…はぁ。」
静かに飲み進める。
一向にトキは戻ってこない。
必然的にお酒の瓶が空いていく。
「…もう飲むの止めません?」
「うんー。」
「また俺がトキにうるさく言われるんで。」
「うんー。」
飲み過ぎたー。
身体は熱いし。もうふわふわで力も入りません。
「話聞いてます?」
「んっ…。」
お酒が入ったグラスに再び手を伸ばした私。
その手をシオン将軍が抑える。
シオン将軍の手は私の体温より低いので、その冷たさに思わず声が漏れる。
「…どうすんだコレ。」
「手、じゃまー。」
「今止めても手遅れだったか。とりあえずトキ…。」
トキを呼び戻そうと考えたシオン将軍は、立ち上がろうとして思い留まる。
まだ広間には数人の隊士がいて、それぞれ楽しく飲んでいる。
自分が離れれば私が一人になる。
「…最悪だ。」
ポツリと愚痴を漏らしたシオン将軍。
それに気付いて、私は覚束ない足で立ち上がる。
「どこへ?」
「…どこだろ?」
「行く宛もないなら動かないでください。」
私を座らせようとシオン将軍の手が伸びる。
私はその手が触れないよう身を引く。

