私を…というか火龍の力を狙う人は多いからね。
確かにトキを危険に晒すわけにはいかないな。お嫁さんにもらうのはやめよう。
そんな中、シオン将軍がぽつりと呟く。
「…結局あの馬鹿虎、開けなかったのか。」
「なんか自分じゃない人がハルを馬鹿っていうとムカつくなー。」
「事実でしょ。」
「それはそうだけど私があんな状態になって、ハルも一緒に苦しかったの知ってるし。たまーにこっそり私を出してくれたこともあったよ。」
そんなハルがいなければ今の私はいない。
「…それに責任の話で行くと、貴女は最終的にハルに助けてもらうからいいって言ってたし。あんな依頼そもそも効力ないですよ。」
「その割にはしっかり助けようとしてくれてたってトキに聞いたけど?」
「…余計な事を…。それで結局貴女は勝手に自分で出て来たんですけど。満足しました?」
部屋からではなく。
もう城から出て来てしまった私。
「満足…はしてないかなー。」
「まだ望みが?」
「あの頃からずっと私の望みは変わってないよ。」
未だ叶えきれていない望み。
ハルも気付いていたのかもしれない。気付いていても、難しいことだったのかもしれない。
「檻の中からでも城の中からでも、ハルが外に出してくれるのが夢だったの。」
パパじゃなくて。
自分で無理矢理出てくるんじゃなくて。
「ハルが笑って送り出してくれたら、もうそれ以上嬉しいことはないんだけど。ハルの中で私はいつまでも子供で、中々認めてもらえなくて。結局我慢出来ずに自分で出ちゃった。」
私がそう言うと、三人とも呆れていた。

