それを気にしてシオン将軍は今まで誰にも言わなかったのか。
トキにさえも。
「アレンデールの実態って?」
「…丁度シオン将軍に出会った時って、パパの過保護が一番酷かった…というか。私の脱走癖が悪かっただけなんだけど。」
「リンのお父さんはアレンデールの歴史の中でも群を抜いて偉大な人だよね。」
「パパは確かに凄い人だけど、城では…あんまり凄くない…いや。うざい…あ、言い方悪いな。私に関してだけはとにかく異常…うーん。難しいなー。」
故人をあまり悪く言いたくない。
いや別にパパのことも大好きなんだけど、パパとハルが二人揃った日なんて私にとっては地獄絵図同然で。
「つまりリンが可愛くて仕方なかったんだね。」
「確かに親バカだったー。目の中に入れても痛くないからって私何回もパパの顔面に押し付けられて苦痛だったー。」
「…アレンデールの実態凄いね。」
違う方の実態に怯えているトキ。
このままで良いような気もしたけど、ここをトキに黙ったままだと。さっきの一件で損をするのはシオン将軍に思えた私。
…今となっては昔話だし。
「そんなパパがね、私の部屋に一つ仕掛けを作っちゃって。」
「仕掛け?」
「その仕掛けからシオン将軍は助けてくれようとしたの。」
「…リンが頼んだの?」

