アキトも思わずシオン将軍を睨むし、トキも苦笑いだし。
…やっぱ変だよね？？？
「何でお前がリンの横陣取ってんだよ。」
「…さあ？」
不穏な空気が流れるのでトキが機転を利かせて話題を戻す。
「それで、リンは鬼人のどんなところが好きなの？」
「ハルの好きなところ…。」
そう言えば割とちゃんと考えるの初めてかもしれない。
好きで言えば全部好きだし、どこって言われると意外と難しい。
「…優しいところ？」
「ありきたりだなー。」
「でもどこって聞かれると難しいんだもん。だって私どんなハルでも好きになれる自信あるよ？」
「…鬼人が実のお兄さんで良かったよ。そんなこと他の男に言ってたら戦が起こる。」
他の人になんて言いません。
それにそんなことで戦は起きません。
「たまに度を越える時はめんどくさいけどねー。」
「度を越えるって？」
「それこそシオン将軍と会った時みたいに暗示掛けられたり、出陣の度に泣かれたり、脱走したらわざわざ軍率いて追いかけられたり。」
「うわー…。」
トキがドン引きしてる。
でもこれがハルの生態なんです。決してクールではないんです。
だけどそんなハルが好きな私も私だ。
「あ？お前結局シオンのこと思い出したのかあ？」
「…思い出した。」
アキトがすかさず斬り込む。
「へえ？どんな昔話だったんだあ？」
「…シオン将軍は狼さんだった。」
「狼？」
説明に困った私は本人に託そうとチラッとシオン将軍を見る。
嫌そうな顔と目が合った。
「…話すとアレンデールの実態がバレますよ。」
「あ…。」
確かに。
閉じ込められてた私はもう気にしてないけど、聴く側の捉え方は微妙か。
