「…私が悪かったの。」
「うーん。リンは何をそんなに思い詰めてるの?」
「私がシオン将軍の十年を奪っちゃった。」
「そんなちっぽけな十年よりもっと大事な物を奪われかけてたのはリンだよ?」
ち、ちっぽけ!?
十年って相当な年月だよ!?
「私はシオン将軍の価値も可能性も身に染みるほど知ってる。そんな人の大事な時間だよ。」
「…何となく話はわかった。昔シオンに会ったこと思い出したってことね。それでシオンの未来を自分が変えちゃったんじゃないかが怖いってことであってる?」
仰る通りだと私は頷く。
「こんなに才能溢れて色んなことに興味がある人だよ。他の道があったのかもしれないし、将軍にだってなりたくなかったのかもしれない。それが私のせいだったら…どうしたらいいのか分かんないっ…。」
トキの腕の中で、堪えていた涙が溢れる。
トキが顔は見えてないにしても震えた声から察して、ぽんぽんと背中を摩る。
「貴女のせいなんて考えた事もなかった。」
「……。」
「…何にせよ今は俺の方が重罪なんで。とりあえず泣き止んでくれません?」
「…許して…くれるの?」
「許すも何も怒ってないし。」
許してくれるらしい。
私は私をとても許せそうにはないけど、許してくれるその寛大な心が有り難い。
「…はい。分かったらリンそろそろ大丈夫そう?アキトがうるさいからあんまり泣かないで?」
「大体アキトは彼女横に置いて毎晩何してるわけ。」
「うちのアキトはリンにはヘタレなんだよね。ああ見えて純情だから。」
「…マジで?けど結婚してたっていう第三王子は?」
「リンとレンは別室で暮らしてたし、リンの隣はルイがきっちりガードしてたから。」

