(二)この世界ごと愛したい




「……。」


「……。」




お互いに沈黙が続く。



いつの間にか上半身の服を脱いでいたシオン将軍。


私の服も若干脱がされかけたまま。




あまりにシオン将軍が動かないので、私はその上半身に思わず見入る。


トキのお兄さんだから、一見華奢に見えなくもないけど。やっぱりすごく鍛えられてるのが分かる腹筋と二の腕の筋肉。




そんな時間を過ごしていると。






「リン、シオン起きた……え?」




パタパタと走って来たトキが、私達の止まった時間を動かしてくれる。


何かありましたと言わんばかりに乱れた服と、シオン将軍の膝の上にいる私。



それを見て流石のトキも固まる。





「し、おん…何して…。」


「…トキ落ち着け。」


「落ち着け…って、何。」


「…とりあえず待て。」




私はそんな二人のやり取りを静観しているだけ。




「自分で降りれます?降ろします?」


「…私?」


「他に誰がいんだよ。」


「何で降りるの?」




何言ってんだコイツと言わんばかりの目を向けるシオン将軍。



だって、降りたら私は…?









「…やめないで。」


「はあ!?」


「…他に私に差し出せる物なんてないもん!本当なら死んでお詫びしたいくらいだけどそれも出来ない!だからやめないでっ!」




シオン将軍はまた深く溜め息を吐く。






「もう参りました。俺の負けです。」


「参ったとか負けとかそんな話じゃなくて…!」


「元々気にしてない。それを勝手落ち込んで反省してるから乗っかっただけ。」


「シオン将軍が気にしなくても私が気にするの!」