離してほしいと思っているけど。
でももう殺気が微塵もない様子と、抱きしめる腕の優しさで。私の警戒心が緩和するのが分かる。
「怖がらせてすみません。」
「…怖くない。」
「俺は怖かったですけど。」
「何でシオン将軍が怖いの?」
全然怖がる要素ないじゃん。
「…また貴女に嫌われるかと思って?」
「……。」
「ちゃんと三秒待ってくれて助かりました。トキの言う通りだ。」
「…トキ?」
何がトキの言う通りなんだと首を傾げると、シオン将軍は私を抱きしめたまま。
ぽんっと私の頭に手を乗せる。
「いい子。」
「っ…!」
完全に、子供扱いされてる!!!
「もう分かったから離して!不愉快です!」
「すみません。」
「いや、謝るだけじゃなくて離してってば!」
「…困った。」
困ってるのは私ですが。
はよ離してくれ。
「離せそうにない。」
「は…?」
そう言えば。
トキが憶測で何か言っていた。
『リンのことが好きだからだよね。シオンもそうだったらどうする?』
…どうしよう。
「…急に大人しくなりましたね。」
「べ、別に。」
「せっかくの機会なのでもう少し怖がらせてもいいですか?」
「え?」
怖がらせるって何する気なのかと考える暇もなく。
抱きしめたまま。
この兄弟特有の縦抱きで私を持ち上げる。
「っ…。」
「へえ?これ好きなの?」
「はあ!?」
け、敬語どこ行った!?
しかも別に好きじゃないし!?

