私に謝ったシオン将軍は溜め息を一つ吐いて。
まだ眠そうに目を擦る。
「…今の、何?」
「…間違えただけです。」
敵か何かと間違えたってこと?
そうだとすれば私のまた違う意味での警戒心が発動する。とにかく近付くべきではない。
「あーすみません。もう大丈夫です。」
「私も大丈夫。じゃあちゃんと起こしたからトキに伝えてくる。」
無意識に間合いから出た私。
足早に退散しようと思ったが、シオン将軍が間合いを詰める。
「…動かないで貰えません?」
「…それ私の台詞なんですけど?」
何故か距離を詰めようとするシオン将軍。
自己防衛からそれをさせない私。
「貴女を傷付けることはしません。」
「…とりあえずトキのところ行かない?」
先ほどの殺気は紛れもなく本物。
本気で私に向けられたシオン将軍の敵意。
一度でもそんな物に晒されたことで、丸腰でここにいるのが嫌な私はとにかく部屋から出たいと思っている。
「…三秒そのまま動かないでください。」
「え?」
三秒動くなって…何?
勝手にカウントは始められたのか、シオン将軍は私に向かって歩き出す。
「えっ、ちょっ…と…?」
たぶん三秒経った。
私は律儀にも戸惑いながら三秒待った。
「…貴女を捕まえるのは骨が折れる。」
「は、離してっ…!」
三秒後。
私をふわりと抱きしめたシオン将軍。

