そうだね。


ハルも耐え兼ねてそんなこと言ってた。



でも、誰よりも私のことを鑑みてくれる二人がそんなこと言いたくはないってこと。




…私は知ってる。





「アキトもう寝てください。」


「あ?」


「ちょっと疲れてるんだよ。私ちゃんとアキトが起きるまでここにいるから。」




髪を撫でていた手を私はアキトの目の上に置く。




「…どうせ自分のことなんてお構いなしにトキを助け出すつもりなんだろ?」


「大丈夫だよ。トキにはシオン将軍がいるから、たぶん私が出るまでもない。」


「静観を決め込んでたシオンが今更政に参入するとは思えねえ…けど。そうか。そこを動かせるのがお前か。」




私はアキトの目の上に手を乗せたまま。


そしてアキトはそれをそのままにして特に嫌がる様子もないあたり、やっぱり疲れてるんですね。





「おやすみ、アキト。」


「……。」






鳥籠に押し戻したい…か。



アキトはきっと知らないから、別に本当に私を心配して言ってくれたんだって分かってる。




…分かってはいるんだけど。





それが出来るのはアキトじゃない。アキトにはきっと出来ない。




パパがいなくなった今。


私を本来の鳥籠に入れることが出来るのは、ハルしかいない。






もう懐かしくもある。



冷たい鉄の檻の中で、私はずっと一人だった。