(二)この世界ごと愛したい




彼等の不安は致し方ない。


私は異物。



簡単に心を開くべきじゃないと思う。




でも、アキトはそれを怒る。


さっき聞いた話では、隊士達に本気で怒ることはないと言われていたアキトが、これほど怒っているのを私も初めて見る。






「別に私は大丈夫だよ。寧ろちゃんと警戒を怠らない良い守備兵だと思う。」


「…ったく。」


「ちょっとっ!?」




私を抱き締めていたアキトはそのまま私を抱える。





「部屋に戻る。俺の城でお前が傷付くなんてあっちゃいけねえ。」


「き、傷付いてません!」


「あーそう。」


「降ろしてよ!?」




アキトは私の制止も聞かずに、ただ真っ直ぐにアキトの部屋を目指す。


お兄さん達はポカンとしているだけ。




お騒がせしてすみません!


ご馳走様でした!!!






「…アキト?」


「あー?」


「もう怒ってない?」


「…さあな。」




もう怒ってなさそう。


私を抱えている腕が、どうにも優しいから。





「アキトは女の子と約束はしない人だって聞いたけど。」


「別にしねえわけじゃねえ。ただ、俺は守れねえ約束はしねえ。」


「…アキトっぽいね。」


「だからお前にムカついたのは事実だ。俺がこの約束一つを守り抜くのにどんだけ…って、アホ!!!」




ゴツンと。


私は何故か頭を殴られる。





「いったー!?」


「俺は別になんも気にしてねえ!!!」


「だからってなんで殴るの!?」


「うるせえ!大体お前部屋から出るなよ!!」




実際に痛い目に合った手前、言い返せない。


その前に城の中もう少し治安良くしといてくれよ!!!