彼等の不安は致し方ない。
私は異物。
簡単に心を開くべきじゃないと思う。
でも、アキトはそれを怒る。
さっき聞いた話では、隊士達に本気で怒ることはないと言われていたアキトが、これほど怒っているのを私も初めて見る。
「別に私は大丈夫だよ。寧ろちゃんと警戒を怠らない良い守備兵だと思う。」
「…ったく。」
「ちょっとっ!?」
私を抱き締めていたアキトはそのまま私を抱える。
「部屋に戻る。俺の城でお前が傷付くなんてあっちゃいけねえ。」
「き、傷付いてません!」
「あーそう。」
「降ろしてよ!?」
アキトは私の制止も聞かずに、ただ真っ直ぐにアキトの部屋を目指す。
お兄さん達はポカンとしているだけ。
お騒がせしてすみません!
ご馳走様でした!!!
「…アキト?」
「あー?」
「もう怒ってない?」
「…さあな。」
もう怒ってなさそう。
私を抱えている腕が、どうにも優しいから。
「アキトは女の子と約束はしない人だって聞いたけど。」
「別にしねえわけじゃねえ。ただ、俺は守れねえ約束はしねえ。」
「…アキトっぽいね。」
「だからお前にムカついたのは事実だ。俺がこの約束一つを守り抜くのにどんだけ…って、アホ!!!」
ゴツンと。
私は何故か頭を殴られる。
「いったー!?」
「俺は別になんも気にしてねえ!!!」
「だからってなんで殴るの!?」
「うるせえ!大体お前部屋から出るなよ!!」
実際に痛い目に合った手前、言い返せない。
その前に城の中もう少し治安良くしといてくれよ!!!

