「ただそうなると、私も馬鹿ってことになるんだけど。」


「お前も鬼人を同様に想ってるって?」


「…ううん。」




同様だなんてとんでもない。






「私の想いの方が実はハルより強かったりするからだよ。」


「鬼人の想いより強い?」


「普段はハルが騒ぎ立てるから周りにはそう見えないんだろうけど。間違いないと思います。」


「…そりゃあ羨ましい限りだなあ。」




ハルに馳せる想いを羨ましいとアキトは言う。


もちろん私からの想いは恋情とは違う物なのかもしれないけど。でもそれ以上の物だと思う。





「…アキト寝れないの?」


「あー寝るのが惜しいからこのままでいい。」


「私の膝枕で寝ないのはアキトが初めてかもしれない。」


「こんなこと誰にでもやってんのか!?」




そんなわけないでしょう。




「ハルとるうだけだよ。」


「…レンは?」


「レン…って、アキトは本当にレンが好きだね?王宮で暮らしてた頃は私こんな暇じゃなかったんだよ?」




本読まなきゃいけなかったし、結婚式もあったし、戦にも駆り出されて、復讐計画も進めて…。


とてものんびり膝枕なんてする暇なかった。




「お前は確かに忙しそうだったなあ。」


「…アキトは暇そうだったよね。」




下から私を暇じゃねえと睨む。


私はそんなアキトの頭を宥めんとよしよし撫でる。





「アキトはレンに異常に優しいよねー。」


「お前が冷たすぎるんだ。」


「私冷たくなんてしてないよ!?」


「じゃあお前を好きだって言ったレンに、何かしてやったのかよ?」




…アキトは変だ。



聞き間違いじゃないのであれば、アキトだって私を好きだと言っていた。


なのに今は、まるでレンに想いを返さない私を責めているようにも聞こえるのは何故だろう。