「あ、アキト…。」
「ん?」
「…ごめんなさい。」
「……。」
私が端折りすぎたのが悪かった。
ちゃんと自分の思いを、伝えなきゃいけない。
「アキトとの約束、私ちゃんと守りたい。」
「…お前はやっぱ馬鹿だな。」
「だからあと一日だけ待ってて。明日戦場に行って全国境、元に戻してくる。」
「だから勝手にしろって言ったろ。鳥籠から出たお前を、阻むものはもう何もねえんだから。」
そう言って、アキトが私を抱き締める。
私が自由に外に出られないことを、実は本当に悲しく思っていたのはアキトなのかもしれない。
「あ…アキト、お兄さん達困ってる。」
「困らせとけ。」
「私も困ってるっ!!!」
「…お前なあ。」
人前でこんな状態を晒され、私は恥ずかしくて意思に反して赤面。
「隊長…まさかその嬢ちゃん、噂に聞く戦神さんっすか?」
「そうだな。」
「こ、こんな可愛い嬢ちゃんが!?自分の国さえ焼き尽くした魔女!?」
…また魔女って言われた。
それにしても私の演技力がこんな場所まで広く知られていることに、少しだけ安堵した。
「…城に入れて大丈夫なんすか?」
「ああ?」
「だ、だって魔法使えるんすよ!?俺等で守れるもんじゃないっすよ!?」
「マジで殺すぞ。」
ピリッと。
アキトの殺気が走る。

