城の守備兵なら私を知らないのも無理ないか。
それにしても、私の肩に回された腕が重いし邪魔だし。退けてほしい。
「嬢ちゃんは隊長を探してたのか?」
「ううん。お風呂借りてアキトの部屋に戻ろうと思ったら美味しそうな匂いがしたから来ちゃったのー。」
「隊長を呼び捨てかよ!嬢ちゃん怖いもの知らずだなあ!」
「えーでもアキト何も言わないし。」
そんな会話をしつつ、私はパクパクと食べれるだけ食べる。
お料理すごく美味しい!!!
ハナちゃんが作ったのかな。可愛い上にお料理も上手で、サクは良いお嫁さんもらったんだなー。
「嬢ちゃんは隊長に惚れてんのか?」
「…は?」
「違えのか?」
「違うよ。私はただ、約束を…守りたくて…。」
そう。
ただ、約束を守るためにここに来た。
「約束?隊長が?」
「…うん。でも私が破ろうとして、怒らせちゃったの。」
「隊長は女と約束なんてするタイプじゃねえよ!あの人は寧ろそんな無責任なことはしねえ人だからな!」
知ってるよ。
責任感があって、義理堅くて、温情溢れる人。
「仲直り…出来るかな。」
「元気出せって!」
「わっ、ちょっと!近いよっ!」
お兄さんの一人が私の肩に回していた腕に力を込めて、グイッと引き寄せる。
…酒くさっ!!!
「隊長に惚れてねえなら遊びなんだろ?」
「え、なんで遊びに来たこと知ってるの?」
「俺は嬢ちゃん潔くて好きだ!隊長のことはとりあえず置いとこうぜ!」
「うん?えっ…!?」
お兄さんはそう言って私をその場に押し倒す。
もう本日二回目なんですけど!?
ちょっと飲み過ぎなんじゃない!?

