(二)この世界ごと愛したい




借り暮らしの身なので、出来るだけお風呂は手短に済ませて。


ハナちゃんが用意してくれた着替えに袖を通す。ふんわりとした着心地のいいワンピース調の寝衣。




「サッパリしたー。」



そして、アキトの部屋に戻ろうと浴場を出た。



けど朝から何も食べずに出国した私の鼻を、美味しそうな香りが誘惑する。




…良い匂い!!!



私は食欲に負けて、アキトの部屋へ向かう足を方向転換。







「…ここかなー?」




匂いの元となる部屋のドアを開けると、ガタイの良いお兄さん達が食事とお酒を楽しんでいた。




「お、女だっ!!!」


「しかも上玉だぞ!隊長の連れか!?」




お兄さん達は私を見て大盛り上がり。


ドアの前に立ち止まっていた私は、すぐにグイグイと引っ張られ部屋に入れられる。





「嬢ちゃん可愛いなあ!」


「えっ…と?」


「隊長の連れだろ?隊長はどうした?」


「部屋から出て、どこか行っちゃったけど。」




このお兄さん達は私のことを知らない。


つまり、ディオンの戦には参加していない兵だったんだろう。





「お、ラッキー!じゃあ事は済んだ後か!」


「事?」


「まあまあ!じゃあ俺等と飲もうぜ!」


「私も食べていいの!?」




嬉しい!ラッキーは私の方だ!


目の前に広がるお料理を見て思わず笑みが溢れる私に、お兄さん達はわざわざお酒もご馳走してくれる。





「嬢ちゃんいける口だなあ!」


「実は朝から何も食べてなくて助かったよー。お兄さん達はお城の守備兵の人なの?」


「ああ。今は戦続きでバタバタしてっけど、俺達は城の守りが仕事だからな!今のとこ暇なんだ!」


「そうなんだー。」