分かってるよ。
私の出る幕じゃない。
アキトは将軍。その誇りもプライドもきっとある。私を心配しての言葉だとちゃんと分かってる。
でも、明日王宮に行くことはもう決めた。
私が原因で失った領土ならば、その責任の一端を私が負わないといけない。
…例えそれを、アキトが望まなくても。
「やっぱり、遊ぶ約束なしにしよう。」
「……。」
「とりあえず一晩だけ泊めて。明朝には出るから。」
「…リン。」
この戦の片が付くまでは、遊ぶことなんて考えない方がお互いのためかなと思った私。
ちゃんと終わらせてから悠々改めてと、思っただけなのに。
切なそうに顔を歪めるアキト。
迷惑だと言ったはずのアキトがなんでそんな顔をするんだ。
「…お前は無情だなあ。」
「私が?」
「どうせ止めたってお前は好きにやるんだろ。じゃあもう勝手にしろ。」
「……。」
アキトはそう言って、部屋を出て行った。
どうやら私はアキトを傷付けてしまったらしい。
アキトはハルによく似てる。でも今の状況、ハルだったら私は甘やかされて結局遊んでもらえるんだろう。
…似てるけど、やっぱり少し違う。
「私だって、楽しみにしてたけど。」
思い出すのは、いつかの海。
『だからたまーにこうして、ただのリンとまた遊んでね!』
『…ああ。約束する。』
「私が破った…のか。」
だからアキトは怒ったの?悲しかったの?
さっきは遊ぶ約束なんて、どうでもよさそうにしてたのに?
…人の感情って、やっぱり難しい。

