アキトが持ってきてくれた地図を見ながら、アキトに詳しい戦場を教えてもらう。


南のソルとの戦場と、三万の兵が派遣されている西の戦場。



どちらも元々あった国境は既に越えられてしまっていて、侵攻を許している。





「…内乱の後の乱れを的確に突かれてる。王宮の軍部が機能してない証拠だね。」


「だからトキがキレて王宮に乗り込んでる。」




セザールは、ディオンとの戦で二人の将軍を失っている。ノイン将軍とヨーク将軍。


そしてエリクも神事の日に私が討った。




…この衰退の原因は、私だ。






「アキト。」


「手出しは無用だ。けど遊ぶ約束はもう少し待っててくれ。次に俺が前線に上がったら速攻片付けてくる。」


「……。」




アキトは突然黙る私を不思議そうに見ている。



ここは、避けては通れない戦いな気がしている。このままアキト軍を使い続けて重症を負うことがあればいよいよセザールは打つ手がなくなる。



トキも、そのことに気付いてる。









「明日王宮に行ってくるよ。」


「はあ?」


「トキも連れて帰ってくる。」


「お前にわざわざ助けてもらう程俺は弱ってねえ。ありがた迷惑だ。」




これだけの膠着している戦。


時間を掛ければ掛けるほどアキト軍は消耗して行くのに対し、敵は大国ソル。最も人口が多い国だから援軍投入も考えられる。



トキはそれを見越して王宮に行ったんだろう。





…ありがた迷惑、か。







「…アキトの馬鹿。」


「お前はここでゆっくりしてろ。」




私はこのアキトの部屋で、ごろんと横になる。