シャワーを浴びて、血行が巡ると頭痛も多少はマシになった気がする。
そして部屋に戻るとハナちゃんがコーヒーの準備を済ませてくれていた。
「大丈夫?落ち着いた?」
「…かなり。ありがとうハナちゃん。」
「よかったー!お稽古はたぶんアキトさんとサクくんが何とかしてくれるから、リンちゃん今日はゆっくりしようね!」
居候の分際で皆さんにご迷惑を掛けてる。
情けないと思いながらも、こんな気持ちで剣を握る勇気もないので大人しくコーヒーを飲む。
「おいしー…。」
コーヒーを飲むとるうに会いたくなる。
心が落ち込むとハルに会いたくなる。
「リンちゃんご飯どうする?」
「とても食べれそうにない…です。」
「うん。アキトさんとお話出来そう?」
「アキト…と。」
その顔を思い出すだけで、落ち着いていたはずの私の熱が戻ってくる。
「…無理そうだね。」
「話せない!!!」
「じゃあトキさん帰ってくるの待とう!お稽古はそれまで一旦忘れよう!」
しかしいつまでも私がハナちゃんをお借りするわけにもいかない。
この城に更なる迷惑を掛けてしまう。
「…ちょっと出掛けてくる。」
「え、一人で?」
「夜ご飯には戻る…けど。ダメかな?」
「…ううん。私からアキトさんに言っとくね!」
ハナちゃん有り難すぎる。
私はとりあえず念のために帯剣し、持って来ていた荷物を抱える。
街にでも行って気分転換しようと考えた。
「行って来ます!」
「うん、気を付けてねー!」
私はアキトの部屋の窓からふわりと舞い上がる。
とりあえずもう鬱憤を晴らしたい一心で、とにかく高く高く舞い上がる。

