恥ずかしいのと苦しいのは頂点に達してる。
お酒の力も相まって身体が異常に熱い。
このまま進んで行ってしまったら、傷付くのも後悔するのも…たぶんアキトだ。
「っ…。」
「…リン?」
そう思ったら、私の視界は苦しさも相まって涙で滲む。
「はあっ…、あ…きっ。」
「苦しかったか?」
私の口内から指を抜いたアキトが、心配そうに私を見下ろす。
苦しいよ。
でも、アキトもたぶん苦しくなるからもう止めてほしい。
「…や、め…っ。」
「…ああ、わかった。」
アキトは私を抱き締めたまま、横になる。
もうこれ以上はやめてと言った私の頭をぽんぽんと撫でるけど。
アキトの指を見るとやはり血が滲んでいて。
「ごめ…ん。」
「は?」
「苦しくて、ごめんね。いたかった?」
「…お前なあ。」
そっとアキトの手を握ると呆れられた。
「あーそうだな。お前はそうだった。」
「うん?」
「こんな時まで人の心配するような奴だったな。」
「うん?」
私はアキトの手を離すことも出来ず。
だからと言って何もすることは出来ないんだけど。
「…アキト?」
「ん?」
「…うでまくら、ない。」
「俺を殺す気か。」
そう言いながらもすんなり腕を差し出してくれて。
私もすんなりその腕に頭を乗せる。
「いっしょにねよ?」
「…お前マジで二度と酒飲むな。」
「うん?」
本当はもうずっと眠りたいと悲鳴を上げていた私の身体は、素直にそのまま夢の世界へ一直線。
しかも安定の腕枕付きなので、光の速さで眠りに着く。
「…明日からどうすっかなあ。」
そして、アキトさんはこの日。
酔っ払った私の姿を何度も思い返しては悶えてを繰り返し。結果、一睡も出来なかったとか。

