揉めに揉めながら稽古する広場へ行くと、サクが一人で素振りをしていた。
…サクを見習ってくれ。
「サク偉いねー。アキトとは大違い。」
「リンちゃん!よろしくお願いします!」
「しかも素直でいい子!」
「はい!?」
褒めちぎる私を不思議そうに見るサク。
「サク、気抜くなよ。コイツ殺す気で来る上に寝込みも襲っ…痛え!!!」
いらんことばっかり言うアキトを、鞘付きの剣で殴りました。
「アキトしつこい。」
「おまっ…本気で殴ったろ!?」
「私非力だから。か弱いから痛くないよねー?」
「マジで良い性格してんな!?」
褒め言葉として受け取りましょう。
そんなやり取りをする私達を、サクがぽかーんと口を開けて眺めている。
「なんか夫婦漫才みたいっすね。」
「……。」
「おいサク。俺が殴られたらまず止めろ?」
夫婦漫才って初めて言われた。
私詳しくないけど、そう言うものなの?漫才ってもっと面白いんじゃないの?
そしてアキトはそれをサラッと流した。
「…サクやるよー。」
「はい!」
私もとりあえず稽古に集中しよう。
剣を抜いて、とりあえず一息吐いてみる。
「っうお!?」
「はい、軸足ブレない。」
「すんません!!!」
「何回も言ったけど大丈夫だよ。遠慮しなくってもちゃんと受けきるから。」
ただ、かく言う私も。
サクと向き合うとハナちゃんがどうしてもチラついちゃって。
どうにもサクとは辿々しい稽古です。
「あー!サクくん!リンちゃーん!」
チラついたら本当にハナちゃんが少し遠くから、こちらに手を振っている。
名前の通り花が咲くように笑うハナちゃん。
その姿を見て、サクも嬉しそうに笑っている。
「ハナちゃん!」
「サクくん頑張ってー!!!」
「頑張るー!!!」
…少し、胸が苦しい。
別に私を応援してほしいとかそんなんじゃないよ?そんなんじゃないけどさ?
私もこんな風に、誰かに力を与えられるようになりたい…なんて。
「リンちゃんも!どうぞ気兼ねなく全力でやっちゃって下さーい!!!」
「っ…。」
私には持ち合わせていないその強さが。
どうにも痛く刺さる。
「うん、ハナちゃんありがとう!」

