「…へえ。」
「ご、ごめんなさい。」
「俺はとことんラッキーだなあ?」
「いや、これはどちらかと言うとアンラッキーでは…?」
私の髪が、さらりとアキトに落ちる。
状況に取り乱してる場合じゃない。早く退かねば。
「この髪。」
「へ?」
「この角度。」
「は?」
髪と角度…?
「すげえ良い眺め。」
「っ!?」
いつものニヒルな笑みじゃない。
子供みたいな笑顔に。
…胸が鳴る音がした。
「降ります降ります!ごめんなさいっ!」
堪らず私は退避。
髪は分からんなりに分かったとしても、角度ってもっと何!?
「あー勿体ねえ。」
「行こう!稽古行こう!」
「…あいよ。」
起き上がったアキトが剣を携えて歩き出す。
私もすぐに剣を持って追い掛ける。
「リン。」
「なに?」
「下から見るお前も悪くなかった。」
今度はちゃんと、ニヒルな笑みで。
そして角度の意味を理解した私は思わず顔に熱が走る。
「邪っ!」
「それで言うとさっきのはお前が邪だったんじゃねえか。」
「だからわざとじゃないって!」
「またこんな話かよ。」
昨日と同じような問答に思わず二人で笑い合って。
私とアキトのよく分からない情の掛け合いは見事に解けていく。
「よし!今日もけちょんけちょんにする!」
「サク先行で頼む。俺は少し振ってからにする。」
「…寝てないでやっといてほしかった。」
寝る前にやることあったよね!?
「人の寝込み襲った奴がよく言う。」
「襲ってない!!」

