読書と稽古と笑顔の練習。


そんなことに一ヶ月費やしている間に、エゼルタ王都では相変わらずなお姫様がその権威を振り翳し、暴君っぷりを発揮していた。




「…総司令はまだ謹慎中なの?」


「はい。もう時期、罪が決定すると陛下が仰っておられました。」


「この前私の服を汚した人間のところに兵を向かわせて欲しいのに、総司令がいないと出来ないじゃない!」


「陛下にご相談されては…?」



たかが服が汚れたくらいで挙兵とは。


随分な暴挙だ。



そして第一将なんだから少しは自分で手配することを覚えても良い気がするが、世の中のために誰もそんなことは進言出来ない。




「お父様が許すわけないじゃない。」


「既に軍の実権はほとんど姫様にありますし、シオン将軍を向かわせるのはいかがでしょう。」


「…シオン。」


「ああ!噂をすれば良いところに!」



不運にも通り掛かったシオンは、何食わぬ顔でその場を素通り。




「待ちなさい、シオン。」


「……。」


「総司令の代わりに軍を動かして欲しいの。」


「断る。」



面倒事はごめんだと即答で断り、一瞬止めた足をすぐに動かす。現場は凍り付く。


ユイ姫さんの付き人は何て無礼を働くんだと青ざめ慌てる。




「ひ、姫様。」


「…あんたが何とかしなさい。」


「ええ!?」



近頃どうもユイ姫さんは機嫌が悪く。


それがあってか関係なくか。エゼルタ王はユイ姫さんに私を招待することを伝えてはいない。