「…これ一冊読んだら自分で上行くから。二人ともお疲れ様ー。」



キリの良いところで悩む二人に声を掛けた。




「ほなまた明日な。ちゃんと休むんやで。」


「はーい。」



カイに引っ張られたおーちゃんも帰って行く。


そう言えば二人のお家はどこにあるのだろうか。行ったことないんだけども。


大体ここにいるもんなー。



そんなことを考えながらも、また一冊、また一冊と読み続ける。


一冊読んだら上に行くと自分で言ったことさえ忘れて、久しぶりに読書に没頭出来る幸せな時間だった。





「…ん?」



気が付けばこの場に置いてもらっていた本を読み尽くしてしまい、仕方がないので渋々二階へ移動する。


移動すれば私のお借りしてる部屋にも、本の山があり嬉しくなって。


また性懲りも無く読み漁る。



ベッドの上でゴロゴロしながら読んでいると、自然と瞼が重くなり。


読みながら眠ってしまう。


最後に窓から見えた空には、薄ら朝日が顔を出し始めていた。




この日から私の体内時計は見事に昼夜逆転。


るうが今まで気を付けて管理していた時間感覚が、大いに狂い始めてしまうことになった。